初心者向け、マジメなバウハウスガイド
バウハウスの思想とその背景、14年間の活動の歴史をたどる本は、実はあまり多くありません。デザイン、教育、建築、工芸、絵画等、バウハウスはさまざまな分野にまたがっているため、いきなり専門的な本を読んでもよくわからないでしょう。ここでは、一番最初に読む本としておすすめの4冊(+2冊)を紹介します。これを読めば、流れも人も大体わかりますから、そのあと自分の興味のある分野へ進んで下さい。
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1-1『バウハウス/歴史と理念』〈記念版〉(アート&デザイン叢書)
利光 功著 My Book Service Inc. 2019年2,200円 ISBN:978-4907490164
日本語でのバウハウスの教科書ともいえる、基本中の基本です。1970年に美術出版社で刊行され、88年に改訂版がでたのち、長く品切れ状態が続いていました。100周年を記念して待望の復刊です。
バウハウスを理解するためには、バウハウス誕生前のヨーロッパのデザインの流れと、当時のドイツの社会情勢を知ることが必要です。この本では一般の方にも分かり易く、バウハウスの背景にも触れています。初心者がバウハウスの歴史と思想の全体像を知るのに最適であると同時に、何度読み返しても新たな発見がある本。日本でのバウハウス研究のベースとなり続ける本です。記念版として復刊するにあたり、[補遺1:「バウハウス」の名称について][補遺2:日本とバウハウス][補遺3:バウハウス関係文献紹介]が増補され、最新の情報をもカバーしています。
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1-2『バウハウス 1919-1933』
マグダレナ・ドロステ著(日本語版) ベネディクト・タッシェン・ジャパン社 2002年 ISBN:978-4887831469
ベルリンにあるバウハウス・アルヒーフの元研究員ドロステ女史によるこの本は、詳しい記述と豊富なカラー図版で読みやすく、内容が非常に充実しています。1992年のペーパーバック版から始まり、ハードカバーで再販されたり、小さい判型になったりしましたが、日本法人が撤退してしまったために、現在は図書館で借りるか、中古を探すという状態のようです。
ページが外れやすい仕様なので、中古で購入される際にはご注意下さい。
ドイツ語版、英語版などもありますので、購入の際にはご注意ください。日本語訳で「?」と思ったときに原書に戻れるので、厳密に読みたい人にとってドイツ語版は役に立ちます。 -
1-3『バウハウス/近代デザイン運動の軌跡』
ギリアン・ネイラー著/利光功訳 パルコ出版 1977年 ISBN:978-4891940065
バウハウス設立前のデザインの流れから順を追って説明されていますが、上の2冊に比べ思想の話が多いようです。なお、この本も品切れとのことですが、古書店では見つけやすいようです。2冊目、3冊目に、デザイン史上のバウハウスの思想を知るための好著。
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1-4『もっと知りたいバウハウス』(アート・ビギナーズ・コレクション)
杣田 佳穂著 東京美術 2020年2,200円 ISBN:978-4808711443
バウハウスの歴史、人物、工房、デザイン、そして作品を取りあげて、テーマごとにコンパクトに解説。上の3冊のように時系列で物語としてのバウハウスを追うのではなく、興味のあるジャンルをどこからでも読める体裁です。ダブル表紙となっており、後ろ半分は作品解説で、先に個々のデザインを理解して、バウハウスへの関心を高めてから学校としてのバウハウスを知るというのも可能です。ミサワバウハウスコレクションの作品群が多く取りあげられています。
こちらもアリ。小さなハンドブック
1-5バウハウスハンドブック1●バウハウス入門』
ミサワバウハウスコレクション 2003年700円
1-6バウハウスハンドブックミニ26●バウハウス,3つの地』
ミサワバウハウスコレクション 2013年500円
小さなハンドブック形式の入門書。A5判30~40頁の薄いハンドブックですが、授業内容、各工房の活動、年表、マイスターの履歴等、一通りのことがわかるように作られています。
1-5の『バウハウス入門』は本当にさらっと一通りの紹介と、ワイマール、デッサウ、そしてベルリンにあるバウハウス関連施設の紹介。
1-6の『バウハウス、3つの地』は26回目の企画展の記録集ですが、3つの地をたどる内容が丁度歴史の解説になっており、『バウハウス入門』をもう一歩深く知りたい方にはセットで持つのに最適です。