2019年10月1日~10月25日

バウハウスで学んだ日本人の一人、山脇巌(1898-1987)は、帰国後、建築家としての活動を行うとともに、バウハウスを日本に紹介しわが国の造形教育の発展に寄与しました。日本大学との関わりは深く、1939(昭和14)年に日本大学芸術科講師に着任し、戦後、1947(昭和22)年には日本大学芸術科の教授に就任しました。また、建築家として、日本大学芸術学部校舎の建築設計を行い1965年から1971年までに校舎新館に始まり芸術学部図書館に至るまで順次竣工しています。1968年に退職後も同校で教鞭をとり続け、1977年には日本大学名誉教授になりました。

日本大学芸術学部芸術資料館で開催されるこの展覧会は、バウハウス設立100年に際し、日大芸術学部にとっても重要な人物である山脇巌に光をあて、あらためてその業績と日本大学芸術学部との関わりを振り返るというものです。芸術資料館には、山脇巌の作品・資料が収蔵されています。そのコレクションから、今回、山脇巌がデッサウのバウハウスの在学した時期に撮影した写真が展示されます。デッサウだけでなく、当時、山脇が訪れたベルリンや東欧の写真も含まれます。バウハウスでは写真表現の実験が先生、学生を巻き込んで行われていました。山脇もその影響を受け、様々な実験的な写真を制作しました。その写真作品は、今日、国際的に高く評価されています。山脇巌の貴重な写真作品が35点、一挙に展示されます。

建築家としての仕事も紹介されます。日本大学芸術学部旧校舎の設計図面28点です。山脇巌は、本来、設計図を残さない方針をとっていましたが、日本大学本部管財課に校舎の設計図面(主に大講堂、図書館、食堂)が記録文書として保管されていました。その記録が芸術学部に「貴重な資料」として収蔵されることになりました。手書きの絵図面とパース図は本邦初の公開となります。

芸術資料館には、山脇巌とともにバウハウスに学んだ妻、山脇道子(1910-2000)の貴重な作品も所蔵されています。帰国後の山脇道子の代表作「機織り機と猫」(1935年)です。幅1.5m、長さ3mの大作で、帝国美術院展覧会に入選しました。この作品は、作品の状態保全のため、今回は原作ではなく1/2縮尺カラー写真で展示されます。

また、本展開催を記念し10月7日から26日まで、芸術資料館と同じく日本大学芸術学部江古田校舎西棟にあるA&Dギャラリーでは、日芸関係者によるバウハウスへのオマージュ「日芸とバウハウス展」も開催されます。

山脇巌を通じた日本とバウハウスの重要な関わりのひとつをご覧ください。

展覧会名

『日芸とバウハウス100年』~山脇巌と日本大学芸術学部の造形教育を振り返る

展示構成

1.バウハウスとは何か?
2.バウハウスに学んだ山脇巌・山脇巌の作品

会期 2019/10/1(火)~10/25(金)
9:30~16:30(土曜は12:00まで)

休館日 日曜休館(10/14と10/22は開館)

会場 日本大学芸術学部江古田校舎西棟 芸術資料館
176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
http://www.art.nihon-u.ac.jp/facility/attached/archives/

主催 日本大学芸術学部芸術資料館

画像:日芸とバウハウス100年展覧会ポスター
デザイン:笠井則幸